Archive for 2021年8月16日

みずまる

 

 

 

 

 

 

 

 

東京の世田谷文学館で、「イラストレーター 安西水丸展」が開催中(9月20日まで)。安西さんの表紙で知られる村上春樹の作品の読者でも、安西さんの絵本で育ったのでもない私です。それでも、作品に接するたび、ふわりと漂ってくる明るさと温かさ、そしてどこかユーモアのある表現に惹かれます。

会場には、おそらく村上ファンと思われる50代前後の方のほか、絵本を読み聞かせ中なのかなと思える、そんな小さな子ども連れの30代くらいの若い夫婦もちらほらいて、全体では女性が過半を占めていました。

以前たまたま訪ねた仙台市文学館で、やはり偶然遭遇した安西さんの企画展は亡くなった(2014年)直後の開催だったのですが、その時よりも親近感が増した気がするのはどうしてでしょうか。

今回あらためて強く印象に残ったのは、説明過多にならない作品の数々。語りすぎず、かといって説明不足にもならず、すべてこちらに任せられ、ぽんと放り出されてしまう感覚は、決して不快なものではありません。心なしか揺らぎのある線で描かれた画からはそよ風が流れてくるようで、観る側は穏やかな時間を手にすることができます。コロナウィルスをはじめ何かと殺伐としがちなこの時代にこそ、求められてよいのかもしれません。

あまりの心地よさに立ち去りがたく、館内をしばらくうろうろしていた私でしたが、併設のカフェでしばしの休憩ののち、小さなポスターを手に帰途につきました。

こんな私ですが、安西さんと一つだけ共通点があるとすれば、それは千葉の千倉町(具体的な内容は秘密)。安西さんが描いた千倉の海のポストカードは、仙台以来、自宅の書棚に飾ってあります。

この文学館は足を運ぶには少し不便な立地ですが、過去にも萩原朔太郎展や大岡信展のほか、井上ひさし展やクラフト・エヴィング商會展、あるいは石ノ森章太郎展、安野モヨコ展などを、目配りの利いた、実に多彩な内容で開催。さらには小松左京展や筒井康隆展といったSF小説ファンにはたまらない展示も手掛けていて、相当に企画力の高い、目利きの、優れた学芸員がそろっていると感じます。ちなみに次回は漫画家・谷口ジロー展だそう。

深夜ドラマ「孤独のグルメ」の原作でも知られる方ですが、それ以前の作品も大好きでサイン会に足を運んだ私、この秋、絶対に行かねばなりません。

養成講座通信コース開講記念 第4弾オンライン講座『教師のためのボイストレーニング』

2021年8月21日にオンライン講座「教師のためのボイストレーニング」を開催します。

学習者に伝わらない?
それ、教え方じゃなくて、「声」の問題かもしれません。
「学習者に届く声」を出していますか。声を磨き、声の出し方と表現をブラッシュアップしましょう。

講座では声の大きさだけでなく、表情のつけ方など、ちょっとしたコツを交え、トレーニングをします。
これから教壇に立つ方も日本語学校などの採用試験の際に役立つ内容です。

インターカルト日本語学校日本語教師養成講座でボイストレーニングを担当するフリーアナウンサーの大迫ゆかりが、アナウンサーならではの声を磨くテクニックを伝授いたします。

定員20名限定の特別講座ですので、お申し込みはお早めに!

こちらからどうぞ