Archive for 2020年1月30日

義理と恥

月曜日の授業は大抵「週末は何をしましたか」と聞くことからスタートします。

クラスメートと銭湯に行った学生、恋人と鎌倉でぶらぶらした学生、一日中家でゲームした学生、様々な答えが返ってきます。「先生は?」と聞かれたときには、5回に1回くらい「ネットフリックスでドラマを見ました」と言っています。本当は毎回、「草津の温泉へ行きました。きれいでしょう?」とか、「名古屋でうなぎを食べました。見てください!」とか、学生の興味を引きそうなことを写真付きで紹介したいのですけど。

最近は「Giri/Haji(義理/恥)」というドラマを見ました。イギリスのドラマなんですが、主役も主役を取り巻くメインキャストもほとんどが日本人です。

物語は、一年前に亡くなったとされる弟(窪塚洋介さん)がイギリスで生きているかも、という情報が入り、主人公の刑事(平岳大さん)がイギリスへ向かうところから始まります。

「義理/恥」というタイトルの印象から、ドンパチドンパチ(銃撃戦)な内容なのかなと思ったら、恋愛・兄弟愛・親子愛・夫婦愛・師弟愛などなど、”愛“がたくさん描かれたドラマでした。

「いいな」と思ったシーンは色々あったんですが、特に印象に残ったのは、終盤5分ほどのモノクロのパフォーマンスシーンでした。言葉は一言も発しません。主人公や主人公の周りの人々それぞれが、それぞれの登場人物に翻弄され続けるものでした。誰かが誰かを受け止めたと思ったらかわされて、よけて、よけられて、ぶつかって、抱きしめあうんだけどまた離れてく・・・みたいな。「わお、いきなり!」と思ったんですが、見続けていたら、「生きるって大変ですよね」なんて言っちゃって、タオルで目元をゴシゴシせずにはいられませんでした(笑)

パフォーマンスが終わって、登場人物間の問題も落ち着くところに落ち着いて、エンドロールを迎えました。

感じたことが二つありました。

一つは、「言葉がなくてもよくわかることもある」と改めて感じたこと。

学校でも、言葉がなくてもわかることに励まされてきました。

まだあまり日本語でコミュニケーションできない学生の、授業中や廊下で会った時の笑顔や笑い声、一生懸命理解しようとする様子。ありがたいです。

でもドラマの中じゃなくて、実際はやっぱり言葉を通して分かり合える瞬間が嬉しいし、楽しいし、学生も楽しそう!もっと自分のことが表現できる言葉という武器を増やしてほしいし、使えるようになってほしいなと思います。みなさん!しっかり基礎を勉強しましょうね!

二つ目は、「問題があっても諦めなければ、落ち着くところに落ち着くよな」ということです。パフォーマンスは、たったの5分だったんですけど、50分のドラマ7回分の人間関係が集約されていました。

劇中も本当に色々な問題が起こりました。やくざのドラマで?どうなの?と言う感じですが、自分のクラスや授業と少し重なるところがありました。

学生同士が楽しく勉強出来て、雰囲気がよくなっていくのって時間もかかるし、勉強したことが定着するのも時間がかかります。

今学期、始まったばかりのクラスの担任も、初めて入る中上級クラスの授業も、「大丈夫か!?私!?」と不安なったりしますが、何か問題があっても、必ず落ち着くところに落ち着くことを信じて、「まずは今日!やるぞ!」と言う気持ちで、今学期も一回一回の授業を大切にしていきたいと思います。

って書いている今もプチ反省中。苦笑

反省はほどほどに切り上げて、次の授業のことを考えようと思います!

田村理絵

名曲は名曲

新旧のアイドルによる曲と、アダルト向けの曲。それぞれの対照的な歌詞を紹介する時間があります。

今回の登場は、まず、フィンガー5「学園天国」(1974)。往年の人気5人グループ、その代表曲です。♪yeah!  学校生活を舞台にした実に明快な歌詞で、学生は楽しんでくれました。最後は一緒にコーラス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、テレサ・テン「時の流れに身をまかせ」(1986)。

語彙と表現はわかりやすいのですが、意味内容は決してやさしくありません。よくよく見ていくと、何やらざわざわする関係性が描かれているようです。そこにすぐに気づく(経験豊富な?)学生もいれば、ピンとこない(純粋な?)人も。これはこれで反応の違いは楽しいものです。

個人的には、「時の流れ~」は、ひと昔いやふた昔前のセンス、情感かなとも思わなくもないですが、当時は当時、その時代を反映しています。学生には納得してくれる人もいれば、いや私は違うという人もいました。

ちなみに、こちらも最後は全員でコーラス。♪時の流れに身をまかせ~

アメリカから来た学生が、心地よさそうに口ずさんでいたのが印象的でした。確かに、名曲は名曲。