プチ自慢

上級クラスで高校の国語教科書を使っています。

三省堂発行の『国語総合 現代文編』。25KouKoukokugoSogo1

採用にあたっては、老舗の明治図書とか筑摩書房もながめましたが、正直言って、どれも似たり寄ったり。 いわゆる定番教材的なものがずらりと並んでいます。 もちろん、芥川龍之介「羅生門」や太宰治「富岳百景」に代表される定番のそれが悪いわけでは決してありません。 でも、せっかくだから学生の関心をもう少し引くような、比較的新しめのものに接する機会を・・・ ということで、この一冊に。

収録作品は私の好きな 川上弘美「神様」のほか、文章の美しい 福岡伸一「生物と無生物のあいだ」。そして 思想家の内田樹、科学者の池田清彦、作家の多和田葉子といった論客。 いずれも各界で活躍中の方々ですね。もちろん、鈴木孝夫、山崎正和といった長年採用の大家もはずしていません。

ですが、そうした作品に勝るとも劣らず、ポイントになったのは、装丁。 なかなかしゃれている。本文のデザインも地味ながらセンスがいい。 だれの手になるものなのかなぁ・・・と思って奥付を見たら、 「クラフト・エヴィング商會」とありました。 近年、装丁に限らず、さまざまな分野で活躍中の夫婦によるユニット名。 この教科書の巻末にも、ウィットに富んだステキな文章をさりげなく寄せています。目下、世田谷文学館では初の展覧会が開催中。

今週の授業では、村上春樹訳のティム・オブライエン「待ち伏せ」を読み、その訳文の巧みさに、学生ともども感心していたしだいです。この作品も定番教材のよう。 また、中村安希「インパラの朝」は筆者が執筆当時20代だったことに学生は驚き、その内容にも共鳴した人は文庫本を買い求めていました。作品の力ですね。

そんなこんなで、学生にも比較的評判のいい教科書なのですが、協働しているほかの先生からも、「これはいい選択だった」とお褒めのことばをいただきました。 つまり、私の眼力もまんざらではないということで。プチ自慢。 萩原でした。

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