Archive for 2018年12月27日

誰にでも 優しい人に 雪つぶて

 

暗く暑く 大群集と 花火待つ

これは、私が好きな西東三鬼の俳句です。直接、花火の鮮やかな光のことは言っていないのに、次の瞬間に、暗闇にばっと広がる明るく大きい花光が見えるようです。おそらく花火を知る人ならみんな、想像をかき立てられるのではないでしょうか。これが、私が俳句にひかれる由縁です。

今までも、上級のクラスで何度か教室で「句会」をやってみましたが、今学期もやってみました。
「冬の俳句」のJ7bクラスの句会。

まず、次のことを伝えました。
【1】5・7・5 → 17文字 ~ 世界で一番短い詩 ~
【2】季語を入れる  季語 ・・・ 季節を表す言葉

【3】~や ・ ~かな  ( 冬空や / みかんかな )

【4】たて書き   *小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」は右の方に書く。

文字数ですが、
⑦ 学校 ②インターカルト ③セーター ④じゃんけん ⑤ちょっと ⑥お正月
⑦プレゼント ⑧授業中 ⑨郵便局 ⑩結婚式
このような単語で、「いくつの言葉?」を練習してみましたが、拍感覚がきちんとありそうな
上級のクラスの学生でも、間違えたり、迷ったりする学生もいて、ちょっとびっくり。

そのあと、
冬の季語を
天気・自然 / 行事・衣食住 / 植物 / 食べ物ごとに紹介。

次に、
「なべ囲み みんなで食べる 〇〇〇〇〇」
の五字を、皆に出してもらい、次々に板書。
おいしいな / 楽しいな / にぎやかに / わいわいと・・・・・
この場合、「楽しいとか、にぎやか」と直接言うより、「わいわいと」のように、楽しい雰囲気を
想像させる方が「俳句らしいのです。」と私が言ったら、L君が大きくうなずいていました。

そして早速、それぞれに指を折りながら、自分の俳句作りをスタート。学生によっては、一人で五句作った人も。

できた人の分を、番号をアトランダムにして、A4に無記名で羅列。
15名出席で、1人1~2句を取り出し、全体で25句を並べました。それを全員にコピーして配布。1人3句ずつ好きなものを選んでもらいました。
私も選んだのですが、この時間が、また楽しからずや。「句会」も最高潮です。

25句中、6~7票、4~5票、人気があったものもあり、1票も入らぬものも5~6句有り。以前、学校の句会で、2回連続私のが全然選ばれず。それを申し出たら、学生たちが一応、ばつの悪い顔をしてくれたことがありましたが、全然 票が入らなかった人には、少し慰めになったかも。今回は、私はあえて提出しませんでした。でも、気持ちはわかります。一般の(外部の)句会でも、入らなかった時の悔しさはすさまじく、また、票が入った時は、舞い上がるほどの幸せを感じた経験があります。

さて、結果は
1位  初雪だ 足跡二つ 思い出に  (Hさん)
もっと喜べばいいのに、と思うぐらいポーカーフェースでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他、
誰にでも 優しい人に 雪つぶて
真っ白な 千本桜 舞っている
谷の村 太陽輝く 初雪だ
ひっそりだ 満月ひとつ 冬の空
冬の雪 降りしきるもの 屋根かくす
こたつかな ゴロゴロしすぎ 出たくない
クリスマス イルミネーション デートなし

大雪後 ぬかるんだ道 野垂れ死ぬ
これは、悪の美学に惹かれるL氏

最後に全員が、一句ずつ色の紙に清書して、貼り出しました。
楽しかったと言ってくれた学生もいましたが、実は私が一番楽しんだかも・・・。

今日は、長期コースの日本語教師、神本令子がお送りしました。