『きらめく拍手の音』手で話す人々とともに生きる
イギル・ボラ 著 矢澤浩子 訳(リトルモア)
訳者の矢澤さんから、
「手話は言語であり、聾はひとつの文化であると教えてくれる本書は、
二つの言語と二つの文化の間で生きる私の胸に響いたように、
異文化・多文化、そして言語教育に携わる加藤先生にも何か伝わる
のではと思い、お送りしました」という手紙と共に届いてから2ヶ月、
読み始めた先週金曜日と今日とで読み終えました。
矢澤さんが書いてくれた通りでした。
今まで私が言ってきた異文化間理解だったり、多文化共生だったり、
その中に当たり前に在ることなのに、意識の中に置いていなかった。
本当にもう、今の今、それに気づかせてもらったという気持ちです。
正確に言うと、気づいたのは先週の金曜日、沖縄に向かう飛行機の中。
285ページ中まだ83ページまでしか読み終えていなかったのに、
あ、これ、同じことだと、土曜日の文化庁の日本語教師初任研修で
(トークショーのように)最終回の講座をする中で突然思い、
衝動的に画面の向こうにいる受講生の皆さんにこの本の話をしました。
写真に印字された日付によると、1996年7月26日。
当時委託されていたアメリカのある大学からの交換留学生クラスの
学生たちとの小旅行。どこだったかな。
緑の西田先生と、ピンクの私と、白の矢澤先生が矢澤さん。
今、自分の時間が止まった、いえ、止めたからできた時間です。
そこで本を読み、自分を振り返り、これからを考え…。
こんな時間、そしてこの本、どうぞ皆様も。