いいね、いいね。
「ねえ、いいと思わない?いいと思わない?」
と、日本語学校校長のTさんはよく言います。
それに対して「いいね、いいね」と最も積極的かつ肯定的に反応するのは
私らしいです(Tさんによると)。
日振協主催の主任教員研修で、自分の学校のパンフレットを持ち寄って、
その内容について質問し合うプログラムがあるというのを聞いた時も、
「いいね、いいね」でした。
管理職でもある主任教員が、
自分の学校のことをきちんと知っていてきちんと説明できるか、
また自分の学校のパンフレットは本当に学校の特徴を言い表しているのかどうか、
などなど、そういう活動を通して“気づく”のは「いいね、いいね」と思ったのでした。
今年初の「いいと思わない?」を聞いたのは今月の初め、
冬休み中に見たというお笑い番組の話でした。
たとえば、「逆です」というようなフレーズが提示され、
それを知らされていない人に、あの手この手を使って「逆です」と言わせる、
それをお笑いの面々が競う。
「インターカルトの考え方そのものだと思わない?」
★新規事項の過程では、意図的・計画的に、かつ自然に指導項目でしか表現できないような「伝えたいこと」を想起させるように[働きかけ]をしていく。[働きかけ]に対して「応答」をしたいが言語表現が未習であることを認識させるように「追い込み」、指導項目を導入する。
「Fundamental Japanese for Expressing Ideas<教師用手引き>」より
「養成の授業でやってみたらいいと思わない?」と、
Tさんがキラキラ瞳を輝かせて言うのを聞きながら、私は「いいね、いいね、
“徹底的に文法語彙B”でも使えそうだね」と考えていました。
“徹底的に文法語彙B”は、私がこの1月から日本語学校で持ち始めた授業のタイトルです。
そして今日。
「考える文法」「考える語彙・表現」(と私が名づけた項目)の後にやってみました。
けれど対象はなんといってもBレベルだから、名詞編でと始めたところ、
なんとまあ、学生たちはその名詞をちゃんと想起させるようなヒントを
日本語でバンバン出してきたのでした。
だったらやってみようか。予定を変えて「どうしてですか」。
まずは練習で私に言わせてみてと言ったら、
いきなり「私は先生が大嫌いです」ときました。「え?どうして?」と私。
つまり一発でノックダウン。
じゃあ、「逆です」。今度は本当にそれを知らされていない学生3人を前に並べ、
他の皆が「逆です」と言わせるべく、次々と声をかけました。
「○○さんは、仏教徒ですね」(○○さんはクリスチャン)。「いいえ、違います」。
あれ?
「△△さんは、男ですね」。「いいえ、女です」。
だめ。
「夏は暖房、冬は冷房ですよね」。「そんなことはあり得ません」。
ああ、そうじゃない。
「○○さんは学校に来る時、新宿の方から来ますね」
(○○さんの家は国分寺。学校は高円寺)。「いいえ、反対です」。
「ああ、惜しい!反対じゃなくて・・・」と皆。
「え? ああ、逆です」。パチパチパチ!
(ちなみに、テレビ番組ではタバコを逆さまに持って火をつけようとして
「逆です」と言わせたそうです)。
授業の最後に15分ほどやってみました。
学生に、「いいね、いいね」と言われるような授業ができたら、
それは本当に「いいね、いいね」です。
あ!これだ!と思ったら、とりあえず「ねえ、いいと思わない?」と
まわりの人に喋ってみたらいいですね。そして喋っている人がいたら、
ちょっと耳を傾けて聞いてみたらいいと思います。